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2008.06.16

古河の昔ばなし 【きつねソバ1】 by もも子 [昔ばなし]

 むかし、古河の町に、たいそううでのいい医者どんがいた。
患者さんはひっきりなしにやってくるし、とおい町から、一日がかりでくる人もいるくらいだった。

朝から夕方まで、はたらきずくめの医者どんは、夜になるともうくたくただった。それでも夜中に急病人がかけこむと、いやな顔もみせずに、病気をなおしてやったと。
ある晩のこと、医者どんは、自分の家が火事になってもおきないくらい、ぐっすりとねこんでいた。ドンドンドン ドンドンドン 
そうぞうしく戸をたたく音に、まず、奥さんが目をさました。
「どなたさまで」
「たいへんです。うちの嫁さんが、おとといから産気づいて、まだ生まれねえんです。もう死にそうなんで。どうか、たすけておくんなさい」
戸口には若い男がたっていた。走ってきたのか、ハァハァと息をはずませている。
ちょうどそのとき、医者どんがおきてきた。
きいてみると、男は、古河からずうっとはなれた村から、かけつけたという。
いまにも泣きだしそうに、立ちつくす男をみて、とうとう、医者どんはでかけることにした。
おかかえの車夫をたたきおこすと、人力車を用意させ、出発した。
古河の町を出ると、もうあたりは森や畑しかない。
まっくらな夜ふけの道を、人力車は走っていった。車の前を、ちょうちんをさげた男が、とぶようにかけていく。
ところが、いけどもいけども村は見えず、こんもりとしげった、森の道を走るばかりだった。
どのあたりまできたのか、けんとうもつかない。
心細くなった医者どんは、かけつづける男に声をかけようと、体をのりだした。そのとき、
「さあ、つきました」男が、急に立ちどまった。みると、目の前に、おおきな おおきな、お屋敷がある。
門から家まで、ちょうちんがづらりとさがっていて、まるで昼まのようだ。
医者どんは、奥座敷にとおされた。
男がいったとおり、はなやかなふとんにくるまった若い嫁さんが、うんうんうなってくるしんでいる。家の人たちは、嫁さんのそばで、おろおろしているばかりだ。
医者どんは、家の者をとおざけると、嫁さんをみてやった。
やがて、まるまるとふとった赤んぼうが生まれた。嫁さんの命もたすかった。                  【つづく】

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